調整対象固定資産!コトトロです。
さて、昨日の続き。
調整対象固定資産を購入するタイミングについて考えていきます。
調整対象固定資産に注意
気を付けないといけないのが調整対象固定資産。
これは税抜き100万円以上の固定資産を指します(建物、設備など)。
抜粋。
「調整対象固定資産」とは、棚卸資産以外の資産で、建物及びその附属設備、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で、一の取引単位の価額(消費税及び地方消費税に相当する額を除いた価額)が100万円以上のものをいいます。
ここからはわかりやすく物語形式で。
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来年簡易課税事業者に戻れるぜウェーイ、と言っている合同会社Xの代表社員A君。
税抜き1000万円未満の固定資産であれば、消費税の相殺ができると言う情報を元に900万円の建物を購入しました。
年度末、税務署に向かい簡易課税事業者の選択届を出そうとします。
ルールを守ってきたから次年度は簡易課税事業者になれるぜい!と考えていたA君は、簡易課税事業者に戻れると信じ込んでいます。
ところがどっこい!
なぜか簡易課税事業者にはなれず、課税事業者をあと2年は続けてくださいと言われてしまいます。
なぜ?どうしてルール通りに固定資産を購入したのに簡易課税事業者になれないの?
税務署職員は言いました。
税抜き100万円以上の調整対象固定資産を購入しているので、課税期間はあと2年間必要です。
ガーーーン・・調整対象固定資産・・ナニソレ?
税抜き1000万円以上の高額特定資産だけ気を付ければいいんじゃなかったの( ;∀;)
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ワロエナイ(´ω`)
こんな状態になったら本気でつらいです。
ここで大事なワードが調整対象固定資産。
先ほど書いたように、税抜き100万円以上の固定資産です。
税抜き1000万円以上の高額特定資産を購入しなければ、簡易課税事業者に戻れると考えている人にとっては寝耳に水状態。
100万円の壁恐るべし(-_-;)
3期目に購入する調整対象固定資産は問題なし
またまたわかりづらい内容なんですが
「課税事業者選択届出書」を提出し、その届出書の提出があった日の属する課税期間の翌課税期間の初日から2年を経過するまでの間に開始した各課税期間中、
税抜き100万円以上の調整対象固定資産を購入すると課税期間が延長されます。
私は2017年8月に合同会社を作ったのですが、2019年7月までに調整対象固定資産を購入すると課税期間が延長されます。
つまり現在は調整対象固定資産を購入しても課税期間が延長されることはありません。
ちなみに、2018年(2期目)に税抜き1000万円を超える太陽光発電設備を購入しているので、2020年7月(4期目)までは課税事業者です。
税抜き1000万円を超える高額特定資産を購入すると、3年後でも、4年後でも課税事業者であるうちは課税期間延長となります。
調整対象固定資産との大きな違いですね。
『コトトロ合同会社の例』
2017年8月(1期目、課税事業者)
に事業を始める前に課税事業者選択届出書を提出。
2018年8月~2019年7月(2期目、課税事業者)
は太陽光事業者として太陽光発電設備購入。
調整対象固定資産を購入すると課税期間が延長する時期。
2019年8月~2020年7月(3期目、課税事業者)
には税抜き100万円を超える調整対象固定資産を購入しても課税期間は延長されない。
1000万円を超える高額特定資産を購入すると課税期間は延長される。
(※10/20修正しました。国税庁に確認したところ、3年目に調整対象固定資産を購入しても対課税期間延長はされないとのこと。)
2020年8月(4期目、課税事業者)
には税抜き100万円を超える調整対象固定資産を購入しても課税期間は延長されない。
1000万円を超える高額特定資産を購入すると課税期間は延長される。
簡易課税制度選択届出書提出。
2021年8月~(簡易課税事業者)
簡易課税事業者へ移行
仮に2019年8月~2020年7月の間に税抜き1000万円未満の調整対象固定資産を購入しても、2021年8月から簡易課税事業者に移行できます。
これが、2018年に調整対象固定資産を購入すると、課税事業主の期間は延長され、先ほどのA君のような悲劇へ突入です・・。
3期目以降はチャンス
逆に考えると、3期目以降はチャンスです。
特に私のような税抜き1000万円未満の建物を建てようと画策している人間にとっては。
税抜き100万円以上の調整対象固定資産なのに課税期間が延長されない。
消費税の還付(預かり消費税との相殺)も可能。
期間限定で使える消費税還付なので、有効に使いたいですね。
調整対象固定資産の注意点
「資本的支出」も調整対象固定資産にあたります。(消費税法基本通達12-2-5)
新しい物を購入したときだけでなく、1つの資産に対する修理や改良等が100万円以上であるときも注意しましょう。
税理士とよく相談した方がいいですね。
資本的支出ではなく、経費として処理できないか。
私もこの辺はさっぱりわかりません(^-^;)
もう一つ気になったのは調整対象固定資産の中に「車両」が含まれている事。
例えば軽トラなどの事業用の車両。
税抜き100万円以上しますよね?
何気なく購入して、経費で処理しようと安易に考えていると落とし穴があるかも。
自分がこれから購入するものは税抜き100万円以上かどうか。
調整対象固定資産に当たるものか。
よ~く考えてから購入しましょ(自分に言ってますw)
(※調整対象固定資産購入による課税期間延長に対する考えが一部間違っていたので修正しました、10/20修正。ご指摘頂いたPVまにあさんありがとうございました!)
コメント
コトトロさん
確かに強制期間(免税事業者となることはできない。簡易課税制度を適用することはできない)は3年間ですが、この強制期間が延長されるのは、課税事業者となった1期、2期に調整対象固定資産の仕入れを行った場合という理解でよろしいでしょうか?
つまり、なぜか3期に調整対象固定資産の仕入れを行った場合には延長されないということになります。
tomyさん
私は法人としての強制期間を確認したのですが、設立した年を含む3年間が強制期間と認識しました。個人事業主の場合は設立した年を含む2年間が強制期間になると思われますが、税理士に確認していない為、自信を持ってお答えできません。
申し訳ありませんが、正確な回答は担当の税理士さんへご確認くださいm(__)m
tomyさん
先日の返信間違っていました。tomyさんの言う通り、「強制期間が延長されるのは、課税事業者となった1期、2期に調整対象固定資産の仕入れを行った場合」です。大変失礼しましたm(__)m
調整対象固定資産には苦しめられました、苦い経験です。
ボロ戸建てを買った場合、建物割合は低く、ほぼ土地代となります。
なので該当しないと思っていたら・・・
ボロを直す費用、これが修繕費(直すだけ)なのかリフォームでその物件の質をよくしたのか
?
後者の場合で100万以上かかるとさあ大変
しかし、これも税理士によって見解が違うので自分は助けられました。
たかぱぱさん
実際にハマりかけたんですねー(–;)
私も今後ボロ戸建て購入する可能性大なので、ただ直しただけなのか、物件の質を良くしたのか意識していきます。
実例とても参考になりました!ありがとうございます。
10月以降、居住用アパートの仕入税額控除が出来なくなりましたが、この資産の購入は調整対象固定資産に該当するかどうかご存知であればご教授願います。
田代さん
該当すると思いますが断言できないので、担当の税理士さんにご確認くださいm(__)m